矢澤: ええ、その時のEPOさん、よく覚えていますよ。
EPO: 先生が催眠療法と出会ったのはいつごろだったんですか?
矢澤: 私自身も最初はクライアントとしてだったんです。もう十年以上前かしら、友人から「前世が分かるんですって」って言われて、「ええっ?」それってどういうこと?」(笑い)もともと好奇心旺盛なので、私も受けてみることにしたんです。
EPO: 昔からそういうことに興味はあったんですか?
矢澤: いえいえ、あまり考えたことはなかったですよね。でも、結婚して間もなくパイロットだった夫が事故でなくなり、彼のヨルダン の親戚が、「前世」というようなことを言っていた記憶はあるけど、まだ傷も深くて追求するには至らずに、何となく、人はなぜ生まれ、何のためにここにいるのかということをそこから思い始めたくらいのことで。
EPO: 実際に受けた催眠療法では、前世を体験されたのでしょうか?
矢澤: もう、それは大変なインパクトを受けちゃいましたよ(笑い)。私は視覚派なのでビジュアルでばあ〜っと出てきちゃったんです。それはパレスチナあたりのキリストみたいな感じの聖職者でした。
EPO: その時ってどんな感じ?感情もその人のものとして感じられるのですか?
矢澤: その時は精神的にとても安定した彼の姿だけで、どちらかというと分離体験みたい。「何これ?」って自我が客観的に思う一方で、数を数えているうちに、また次の前世に行ったりして、とにかくおもしろいんですよ。
EPO: そこからどのようにセラピストとしてのお仕事につながっていくんですか?
矢澤: その後も何度か催眠療法を受けていくんですが、第一回目の体験があまりにも強くて、しかもキリストみたいな彼が大衆を相手に「愛を説いている」っていう姿が無意識に働いたのかもしれませんね。これを習いたいと思い、追求していったら、自然に職業になっていきました。
多数の職歴から、何かのプロになりたい
EPO: もともと、先生はフライト・アテンダントとしてお仕事されてたんですよね。
矢澤: そうです。結婚してヨルダンに住んでいたんですが、日本に戻り、フリーで英語を教えたり、通訳をしたり、そのうちに外資系金融の仕事につきました。
EPO: 金融っっていうのがユニークですよね〜。いろんなお仕事に興味があったんですか?
矢澤: これも友人経由で縁があったって感じですかね。ただ、正社員の立場で、一つの仕事のプロになりたいみたいな気持ちはありましたね。
EPO: たくさんの仕事に関わりながら、それが適任と思えるように、先生の場合、ことがすべて順調に運んだのはなぜなんでしょうか?
矢澤: 無意識の中の思いが、私の心の状態に合った仕事に出会わせてくれたというのはあるかもしれませんね。
EPO: 無意識の力というのは、先生の授業にもたくさん出てきますよね。多くの人は、「やりたいけど無理かも」とか「やりたいことが見つからない」と悩んでいますね。
矢澤: 現実的レベルのものの考え方も必要です。小さいことでも、こんなことに興味があるとか、こんなことをやってみたい、という気持ちで一歩踏み出せれば、きっと広がっていくはずなんです。
EPO: 先生のその行動力は小さい頃からなんですか?
矢澤: 子供の頃は、特に言葉に出して自己主張するような子ではなかったけれど、両親があまり否定するようなことを言わないので、思いだけはずっと持っていられたというのはあるでしょうね。
EPO: それってすばらしいですね。今のお父さんやお母さんは、「あなたはこういうところがあるから、これは向いてない」とか、子供を心配するようなふりをして実は牽制して、子供の可能性を親のおもい込みで制限していることがなんと多いこと。私の所にいらっしゃるクライアントの親子にも、見られる傾向なんです。
矢澤: 残念ながら、それが一般的かもしれません。
子供の可能性を否定する言葉
EPO: 今、先生は「子育てセミナー」というものも開催してらっしゃいますね。参加されるのは主に親御さんですか?
矢澤: いや、現在親である方、妊娠中の方、未婚の方、いろいろですね。
EPO: セミナーではどんなことをお話されているんですか?
矢澤: 一番だいじなのは、親御さんの子供に対するあり方ですね。子供の中にある、まだやってないけど、何かに対するワクワクする気持ちや未来、可能性を否定してはいけないんです。それはとてももったいないこと。
EPO: 母親が思っている子と子ども自身はぜんぜん違うってことも多いんですよね。
矢澤: そう。それは親子としての関係が出来上がっているので、その関係がそれ以外の面を見せないようにしているんですよ。
EPO: ほんとにそうですね。親子で身体的な優先システムが違う場合、たとえば親が言語派で子供が感覚派だったりすると、この親子は分かり合えないだろうな〜と思いますね。
矢澤: DNAが同じだろうと、自分と子供の表現の仕方が違う時、そのままのアプローチの仕方では分かり合えないでしょう。
EPO: 相手の状態を見聞きし、理解するっていかに大変かと思いまね。私と母の関係もそうでした。これはとうていお互い理解できないだろうと‥・(笑い)
矢澤: 大人が子供に注意する時、例えば、「そんなことをするとこぼすわよ」と言うと、「こぼす」という否定的な感覚が子供の心の中で入ってしまいます。だからそう言わないで「こうすれば大丈夫ね」とか‥・、こぼすという望まない結果を連想させる単語を使う必要はないんです。
EPO: なるほど〜。私たちは、そんなことぜんぜん気づかずに、この方法を使ってますね。自分の思いがあるがゆえに、してほしくないことを言葉にして相手にオーダーしているということが分かりますよね。
矢澤: それで、意図が伝わったと思ってしまうんですけど、ぜんぜん伝わってないんです。これがコミュニケーション・ギャップです。
EPO: 先生の授業の中に、肯定的な言葉を使って自分の夢を作文にする時間がありますよね。「‥・だけど」とか「でも」を使ってはいけない(笑い)。これが以外に大変で、難しかったのを覚えています。
矢澤: 日頃からいかにそういう発想をしていないかと言うことですよね。夢の実現には、その大きさや種類にもよるんですが、思いを強く持つということと、できるだけ具体的に描けるといいと思います。途中経過もはっきりとイメージすること。望みに対する強さは、夢実現に向かって気持ちを駆り立てますから、期限の設定やあらゆる計算がたちやすいですよね。そうすると、「叶わないかも」ではなくて「できる」というイメージのほうが強くなってくるんです。夢が大きくても小さくても、仕組は同じです。
潜在意識が行動や考え方を作る
EPO: いかに、無意識が現実を作っていくのかというのが分かりますね。
矢澤: 心は1割の顕在意識と9割の潜在意識でできています。とすると、意識の大部分である潜在意識の中の個人的無意識が、行動や考え方に大きな影響力を持っています。
EPO: 私も授業受けるまで、そんなことを考えたこともありませんでした。なんで自分には、同じようなトラブルが何度も起こるのだろうと‥・。その原因は潜在意識の中にある記憶のプログラムのせいなんですね。
矢澤: そうですね。対処の仕方や人間関係の作り方は、子供時代の家庭の中で学んでいます。だいたいが目上の人との関わりあいの中で、こうあらねばならぬというようなやり方が大人になっても同じように出てくるんです。
EPO: それはなぜなんでしょうか?
矢澤: 潜在意識は顕在意識と違って、論理が分からないからです。論理がジャッジする以前に、様々な体験から刷り込まれてしまったものや記憶は、自分の中での在り方としてのプログラムになってしまって、それ以後、私たちの論理的思考は育っていくんですが、論理を司るのは顕在意識であり1対9の綱引きになって、当然9の方が勝ってしまうのです。
EPO: 何かこの気持ちは過去にあったモヤモヤと似ている気がするというのはそのせいでしょうか?
矢澤: そうですね。同じような感情を伴った記憶はくっついてグループ化されてるんです。
EPO: 催眠療法とは、実際どのようなセラピーなのか、読者の皆さんに紹介していただけますか?
矢澤: 催眠の最初はリラクゼーションから入って、ひとまず、ジャッジしている自我をお休みさせるんです。たとえ強い自我でも、安心してリラックスすると、自我が静かになるんです。
EPO: 私も先生のカウンセリングでの催眠で、子供時代に戻った時に、封印されていた記憶や些細なことがリアルにでてきてびっくりしましたね。
矢澤: 記憶はすべて残っているんです。でも成長によって、今気にかけることが多すぎて、昔の記憶にアクセスする機会が減っていくんですが、心の奥に保管されているのです。催眠状態では、記憶の中の様々なことにアクセスできて、そこに出てきたことは本当は気にかかっていた事なんです。
EPO: あの時の感情がわきあがって、泣いたり、言えなかった言葉をセラピー中に相手に言えたあと、すっきりするのはなぜなんでしょう?
矢澤: 割り切れていない過去の出来事が、自分にとって納得のできる形で終わっていないのが、催眠によって書き換えをするからなんですね。
EPO: 子供の頃に、本当は親にしてほしかったことや、その時感じた怒りや悲しみを、まだ小さかったから実際に表現できていなかったことが、実は山ほどあったんだなあと。催眠状態になって、実際に言葉にして「やめてほしい」とか「優しくしてほしかった」と、その時の感情が出せると、心がとても納得できるんですね、不思議ですね。
矢澤: 私達は、過去に起こったことに対して感情的な締めくくりができないことも多いんですよね。事実はそのままなんですが、その時に戻って「過去を完了させた」という実感を持つことが大事なんです。
EPO: 思い出の捉え方が変わるということですかね。
矢澤: 言っていいんだ、言えたという記憶が入りましたから、これから起きることに対しても対処の仕方が変わります。
トラブルの原因側に自分を置くこと
EPO: 私も三年近く、催眠やNLPの勉強をしてきて、トレーニングの間に仲間に手伝ってもらい、いろんな感情を手放すことができたんです。それから以後は、同じようなトラブルはいっさい起こらなくなりました。まわりの現実が、自分の心が作り出す投影であるということを学びました。人によっては、様々な問題が体に表現される場合があるそうですね。
矢澤: こちらにいらっしゃる方には、体の異変を抱えている方もいます。それは子供時代の嫌だったことをまだクリアにしていない、感情が残っている、となると同じような状態になると、いつも同じ繰り返しになって満足できないということになってしまします。潜在意識は体を司っていますから、納得できていない感情が体のどこかに出るようなっています。
EPO: 催眠療法で、かなり改善できるんですか?
矢澤: そうですね、いろいろな改善が見られますね。
EPO: 自分の心の状態が、日常の現実を作り出しているということだとすると、心と向き合うことで、健康という面でも望ましい現実を作り出すことができるわけですね。物事をいつも誰かのせいにしているより、自分が原因側にいるのだと気づくことは、魂を成長させることにつながるということかしら。
矢澤: 自分が犠牲者の意識にならないと、能動的なアクションが起こせるようになります。物事はどんな形でも起こり、人生には障害や問題はどんな人にもあるんですが、原因側に自分を置くことができると、起こったことに対処しやすいんです。
EPO: 出来事の理由を外に求めず、自分自身と向き合う学びも得られますね。
矢澤: 他人との在り方も、いつも望ましい状況ではないとしても、相手のせいにしなければやり方を変えたりすることもできます。失敗は後悔するためにあるのではなくて、未来の自分への学びですね。
EPO: 先生が前世で、愛を説いていた、その姿と今のお仕事はぴったり合ってますね。
矢澤: 私の無意識がそのように動かしてくれたんでしょうね。EPOさんが、歌を選んで歌手として活動されているのも、どうでしょう、何かあると思いますか?
EPO: 病院やホスピスで歌わせていただくことに、特に自分の働きを感じます。それにとても楽しい仕事です。
矢澤: たとえそれは歌手じゃなくても、常にその場に」生きるという感じ?
EPO: 社会に自分が機能していくこと、それを私の好きな音楽で。それが私に与えられた仕事ではないかと‥・。
矢澤: みんな幸せになるために生きていると思うんです。それぞれが好きなことを探すために一生懸命になったらいいと思います。皆、人とつながって生きていますし、楽しいと思える状態になるのが大事ですよね。私もこの仕事を通じて、クライアントの方が自分自身を確認し、幸せの道を進んでいくことができたらいいなと思います。しかも私が好きだなと思える仕事なので、もっと深く追求していけるんじゃないかと思います。
EPO: 今日はいいお話をたくさん伺うことができました。 ありがとうございました。
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