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体験談

CASE2: 編集者のY君の前世退行
編集者のY君が皆の代表で・・・・・・。

 

10分後、Y君が先生の合図わ待ち、不安げな顔で大きな椅子に深く身体を沈ませたのだった。

「軽く目を閉じて。では参りますよ。鼻からゆっくり息を吸って、はい止めて、口から細く長〜く吐き出しましょう」
私の時とほぼ同じように」始まり、Y君は先生の指示通り、いくつも深呼吸をするうちに、やがて全身を脱力させて、音もなく催眠状態に入っていった。

 「さぁ,足下に跳ね上げ式の扉がありますよ。階段は10段です。ゆっくりここを降りていって下さい。一歩降りるたび、あなたは自分の別の人生に近づいていきますよ」  先生のこのセリフ聞こえているのか、Y君の方はまるで眠ってしまっているみたいになっていた。大丈夫なんだろうか。鼻からピューピューという寝息のような音が小さく聞こえているが・・・・・・。

 「さぁ、あなたの一番行きたい所が、もう見えてくるはずですよ」

 「道があります。普通の、そう太くもない道。これは外国の住宅ですね。白っぽい壁、ペパーミントグリーンの屋根で・・・・・・」

 

良かった。Y君はちゃんと起きていた。ちょっぴり神経質そうな喋り方ではあったが、先生の質問に丁寧に答え始めた。

「僕、缶けりして遊んでる。長ズボンとサスペンダー,長袖のシャツを着ているよ。今、春であったかいよ」

Y君は自分をマークと名乗り、髪がグレーで目が茶色、8歳なんだと自己紹介した。兄弟はおらず、両親と自分の3人家族だというので、先生がさらに突っ込んで聞くと・・・・・・。
「お母さん、目がブラウン、やせてるけど、とっても優しいよ。お仕事はミシンでお洋服を縫ってる。父さんは・・・・・父さんは・・・・・ ・」
お母さんの話はスラスラ話してくれたのだが、お父さんのことになると、Y君は顔をこわばらせ、うつむき加減になった。

「お父さん、しばらく帰ってこない・・・・・・近所にいた友達も引っ越しちゃて・・・・・・お父さん、もう帰ってこないと思う・・・・・・お母さんは僕に隠しているけ ど、僕、知ってるんだ。淋しいよ」

Y君は少年の口調でそうつぶやき、声をつまらせ、何とそのうち目に涙まで浮かべた。
男の人なのに!なんてぇ言い方は失礼かもしれないが、私はY君の泣き顔を初めて見たので、かなりびっくりした。

Y君は、誰から見ても、はっきりマークそのものだった。私は、完全に入り込んでいる彼を見つめて、「一体Y君そのものはどこへ行ってしまったんだろう?」とさえ思った。
先生の方はさすがに驚きの様子はおくびにも出さず、熱心にY君の話を聞き、ちゃんと8つの子にわかるような言葉遣いで励まされていた。そして先生は、彼が落ち着くのを待ってから、数を5つ数え、私の時と同様に、指をパチンと鳴らして、7〜8年先に進めていかれたのである。

★ そこは19世紀のニューヨークのようだった。マークは15歳。

 「僕、機械いじりが大好きで、大っきなガレージみたいな所でアンプをさわらせてもらってるんだ」

 「それ、仕事?」

Y 「遠い親戚のお金持ちのおじさんが僕に色々やらせてくれる。おじさんは少し苦手だけれども、チャンスを与えてくれるから、ありがたいと思ってる」

★ さらに10年後、マークは25歳
「ニューヨークでアンプ等を売ってます。自分のショップがあって、僕は背広を着て座っています。特許を取った製品を置いて、おじさんにペイバックしています。貧乏じゃありませんよ。ちゃんとやっていけてるけど、商売は好きじゃない。前の方が楽しかった。町並みはきれいだけど、あんまり外に出たくないですガールフレンド?・・・・・・いませんよ」

内気で孤独なエンジニア、マークの生涯を10年ごとに追う。

★そしてさらに10年が過ぎ、マークは35歳に。
「ニューヨークのお店を売って牧場を買いました。羊が20頭もいるし。大lきな犬のアンジーもいますよ。男 の子と女の子をひとりずつ養子にもらいました。女の子は7歳のニッキー。巻き毛の白人です。男の子は10歳のジョーイ。黒人です。奥さんはいません 。忙しくて結婚のチャンスがなかったんですよ。教会に行ってる内に縁があって、子供を世話してもらいました。教会はあんまり好きじゃないんですけど、世間づきあいです。ジョーイは料理が得意。ニッキーはおしゃまさんです」

★さらに10年が過ぎ、マークは45歳。

「ジョーイは大学在学中で、バスケットの選手になりました。ニッキーはペンシルバニアにいて、看護婦になろうと勉強中です。僕は一人・・・・・・でも実は好きな人がいるんです。ナンシーという名で未亡人です。ダンスパーティーに誘いたいけど、なかなかチャンスがない。僕、口ベタですから・・・・・・」

前世療法は、遥か彼方にいるまったく違う自分に出会う旅。


★またまた10年後。マーク55歳。
「フフフ、ナンシーがパイを焼いてます。下の女の子が帰省してくるので。僕ら一緒に暮らしているんです。ジョーイもニッキーもとても優秀で元気ですよ 。幸せです。ナンシーの方には子供はいませんでした」

★そして、いよいよ人生最後の場面。
「柵を修理してます。家畜が逃げないように、柵には電気が通っているんですが、それが壊れて、修理しているうちに、心臓が」・・・・・こりゃ死ぬなあ、と思いました。僕は65歳。おだやかな日です。怖くも痛くもありません。」
マークはこときれたが、Y君はさらにマークの人生を振り返ってこう言った。

「とても淋しかったけど、僕は頑張ってきた・・・・・・でも、ある日、そんな風に頑張るのやめたんです。もっと自分の日常生活を充実させようと思った。どんどん家族が増えて、初老にさしかかってからは妻ももらって、子供の頃は淋しかったんですが、でも、僕の人生は徐々におだやかなものになっていきました。」 ここでマーク・・・・・・いやY君は自分の前世での日々を思い、またまた涙を浮かべるのであった。

語り口調もいつものY君とはガラリ変わり、かなり落ち着いて渋い感じだ。いつもの突き抜けた明るい笑顔はまったくなく、あくまでも内向的な職人気質の人物なのだった。

 

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