私自身、自分を変えたいと願ってきたが、つい日常の忙しさにかまけておざなりにしてきた。今までの人生で何度も直面した同じような行動パターン。 そんな行動をするたびに四苦八苦しながら苦悩する日々。 原因はどこにあるのか?
論理や理屈で考えても結論はでない。逆に頭では考えつくした、ような気もする。さりとて、どんな方法で自己の行動パターンを改善していくのか?カウンセリングで私の思いをつぶさに話す。「そんな方にこそヒプノセラピーは適しています」。ただちにセッションに入った。
インセンスの香りにつつまれた8畳ほどのセッションルーム。やすらかな音楽が流れる中、リラックスした椅子に座りゆったりとした気分にさせる。頭、眉、目、口、からだの部分ごとの力を順番に抜き、リラックスした状態で椅子に身体をゆだねる。鼻からゆっくりと息を吸ってほんの少し止めて、口からゆっくりと吐きだす。体内にたまっているネガティブなもの、恐れや不安の原因となっているものを、息を吐きながら体外に排出していく、それと同時に息を吸う時にはとてもキラキラ輝いた、私を癒すエネルギーが体内に入ってくる事をイメージする。イメージが序々ではあるが確かなものとして感じられる、と同時に身体が固くかつ熱くなっていることに気がついた。
矢澤さんの導きにより呼吸をもとに戻す。
「あなたのからだが綺麗な光に包まれているとイメージしてください。この光にはどんなネガティブなものも入ってこれません。その光はあなたの内側にとっても安全で平和で穏やかな場所をつくりだしてくれます」
体中が守られているような安心感。この光が頭上から私の体を支えているイメージが感じられる。からだが軽くなり矢澤さんの言葉が苦もなく受け入れられる感覚。これが自分の潜在意識にアプローチしている状態か・・・・・・開かれた心に矢澤さんの言葉が染み込むように吸収されていく。
意識がなくなったり、もうろうとしたり、何か不思議な感覚を感じたりすることは全くない。極めて普通の状態だ。ちょうど白昼にまどろんでいるような感覚といったら適切だろうか。地下にむかっていくトンネルを歩んでいくイメージ。彼方の光にむかっていくイメージ。私はだんだんと過去に導かれていった。
「これから10から1へと数える間に、あなたは時間と空間を超えて進んでいきます。10,9,8・・・・・・1」
その瞬間、映画を見るように過去の出来事が目の前の画面に映し出されていた。いや感覚や聴覚、ときには嗅覚さえもビビッドに感じられる映画、バーチャルリアリティーのような状態と言った方が良いだろう。そこには長男として育てられ、両親の期待に背くまいとじっと我慢する幼少の私の姿があった。催眠では潜在意識が赴く過去を選んで退行するという。私が直面していた行動パターンにその当時の自分の我慢が微妙に影響していたのだろうか?幼少の自分の悲しい気持ちがちくちくと以降の私の行動や思考を攻めたてていたのだろうか?
「私だけが悪いのではない」
矢澤さんは話してくれた。そう、両親も初めての子どもで育て方分からなかったんだ。そう思うと、感謝の念が心の底から湧いてきた。両親を責める気持ちはさらさら起こらなかった。幼少の私を抱きしめ、守り、またの再会を誓って別れた。そう、催眠は特別な状態ではなく、いつでも私は幼少の自分にアクセスできるのだ。
「1〜5まで数えたらクリアーな意識状態に戻ります」
とてもゆったりとした時間が流れたような気がした。自分を変えたいと常々願ってきたが、それはあくまで表層的で上辺だけで、何となくあせっているだけでしかないのだということに気がついた。ヒプノセラピーは、自己を癒し、許すことができ、人間としての成長を助けるすばらしい技法・・・・・・実感としてそう思った。
(K・Sさん 30歳男性)
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